村の通りを歩いていると私を呼び止める人がいる。道端で一服やりながら手招きするので近づいてみると日用品を売る行商人で、籠には様々な物が入っている。その中から一つ買い求めたのが「おろし金」である。ココナツの果肉などを下ろすときに使う物で、竹の枠に張られたブリキ板には釘で穴が空けられている。その数648ヶ。
日本に持ち帰り、さて何に使おうか?と考えた末、夜、暗くした部屋で下から懐中電灯を点けてみた。天井にバリ島の煌めく星空が映し出された。
アバビ村の夜空には天の川が流れ、点滅しながら横切ってゆく人工衛星さえ見える。あまりの星の多さに星座を繋ぐのが難しいほどだ