蟲の王国

 バリ島は虫が多い。気候が良いのと、田や畑での薬剤散布が少ないからだろう。
かって10年借りていた家も、様々な虫軍団の攻撃に遭った。元々昆虫少年だったので逃げ出すことはなかったが、ある日、部屋の壁に行列を作る蟻の行き先を辿ってみると、ビニールの中に仕舞ったシャツへと続いている。ベランダに持ち出し恐る恐る開けてみると、袖の中から土に混じって無数の白い卵がこぼれ落ちた。彼等は外からせっせと土を運び込み、巣を作っていたというわけ。
 せわしく出入りを繰り返している蜂の行き先を追ってみれば、壊れたハンガーのパイプの穴にこれ又せっせと土を詰めている。
 台所で調理していて、サソリを踏みそうになったこともあるが、バリのサソリの毒はそれほど強力ではないらしい。しかしなんとも厄介なのが「ヌカカ」だ。これは「糠の粉のように小さな蚊」という意味で1ミリ以下と小さく、気がつかない内に柔らかいところを刺される。瞼、耳朶を刺されても羽音に気づかず、しばらくして痒みと腫れが始まり、一週間以上続く。帰国後も風呂で体が温まると痒みがもどってくる。
 自然に囲まれた生活、ということは、この地球上で最多種の昆虫類ともいっしょに暮らすということで、他の動植物も昆虫との連鎖でその多様化が維持されているのだ。

● 写真内左右の〈 〉をクリックで移動します

img0010_2.jpg tateha.jpg dragon.jpg img0012_2.jpg _0012168.jpg arijigoku.jpg bee.jpg ants.jpg ants_20160730213550177.jpg portrait.jpg台所の壁に伸びるアリの道 hotaru.jpg tokkey.jpg

芭璃四方山話へもどる