凧揚げ
聖山アグンの麓の村では、稲刈りが終わり次に田圃に水が入るまでが凧揚げのシーズンである。子供だけでなく、むしろ大人が本気で遊ぶ。宿のスタッフも仕事が終わった夜、翌日の凧合戦にむけせっせと作る。凧揚げといっても上空で相手の糸を切り合う「喧嘩凧」で、糸にはボンドに砂など混ぜ塗り込んであり、時には自分の指さえ切ってしまう。竹籤とビニールで作るのだが、大人も子供もデザインにはこだわりがあり、色・形は様々だ。
風が吹く時間になると、グループごとに田圃の空き地に陣取り、一斉に自慢の凧を上げる。風を読んで相手の凧に近づき絡めて切るのだが、凧には体勢を安定させるための尾っぽはなく、むしろアンバランスにできている。それを指先で巧みに操るのが腕の見せ所だ。
田圃から離れた風下の丘の上には竹竿を持った子ども達がたくさん集まって上空を見つめている。凧が切り落とされると歓声が上げ一斉に落下地点目指して走り出す。
東京から来た少年・少女も、雲に隠れるほど高く上がった凧の紐を手渡され、指先にびんびん伝わってくる風の感触に感激している。
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